2010年11月24日

神の前に立つ

昨日、パネラーとしてある大学のシンポジウムに参加した。
 しかし、その会を企画した方が、昨日は来ることができなかった。

 代わりに、その方のお連れあいが来られ、マイクを握り、200人近い人が集まった会場に語られた。
「今日、企画した本人が来られないことをお許し下さい。彼女は末期のガンで、昨夜から意識がなくなりました。しかし、この会を計画した彼女の思いを伝え続けていただきたのです・・・」
 
 その女性とは打ち合わせの時にお会いしている。
 彼女の口から「痛みの緩和ケアー」を受けていることをその時に聞いた。
 しかし打ち合わせの途中にも、彼女は「痛みが強くなったので失礼いたします」といって、イスから立ち上がり、立った姿勢のまま、会議を続けられていた。
 それが10日ほど前のこと。
 その女性に、昨夜から意識がなくなったという。
 
 私自身、3年前に妻を突然の病気で亡くしている。
 だから、このご夫妻の気持ちは、身に刻まれるように理解できる。

 会場に集まった者たちを前に、連れ合いの方は、静かに、しかし揺るぎない態度で、マイクを持たれ、言葉のひとつひとつを紡いだ。

 その方は、キリスト教の著名な研究者で、私自身、ずっと敬慕させていただいた方だ。
  
 神の前に立つ。
 そう表現するしかない凜とした姿。マイクを持つその姿は、静寂を帯びながら、しかし怒気迫る迫力を放っていた。
 
 しかしまだ昨日同席した、あの光景の意味を十分には理解できていない。
 しかし昨日は、人間を超えた世界を身体で感じているからこその、静けさと、迫力だったのだと思う。
 
 一歩でも、半歩でも、私は、お二人が見ている地平に近づきたい。

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2010年11月18日

ひと粒の種

11月18日

 今から9年前、ピースボートの船上で、僕のアシスタントをしてくれた22歳の女性がいました。
 大学を卒業したばかりの彼女は、「船を下りたら、少し学生時代にやっていたレポーターの仕事か、大学で資格を取った保育園資格を生かし、子どもたちと接する仕事がしたい」といっていました。
 顔もかわいいし、愛嬌もあるから、テレビなどのレポーターとしても、そこそこ仕事はきたのかもしれません。
 
 でも、そんなチャラチャラした世界に入るより、子どもたちと接して、まっとうな社会を作ること。それが彼女に与えられた才能だと私は感じました。

 で、私の娘が卒園した保育園を紹介しました。
 ここは、給食もすべて有機野菜を使い、保育者と父母、そして子どもたちが家族のように集まる、日本でも有数な、まっとうな保育園なのです。

 昨日、私の講演に彼女が来てくれました。
 まだその系列の保育園にいること。
 そして、保育園では「古株になるほど」だと教えてくれました。
 でも、その顔が本当に生き生きしていたのです。

 私は素直に嬉しかった!

 どうなるかもまったく分からず、フラフラとピースボートに乗った若い女性が、今、一人の大人の女性として、自分の足で歩き、彼女も100人近い子どもたちを、全身で育てようとしているからです。

 私が9年前に撒いた一粒の種が、芽を出し、枝を作り、また100人の子どもたちを育てつつある。

 成果は今日明日に見えません。
 でも今日の活動が、いつかは大きな、大きな社会にとっても重要な木になる。
 それを実際に感じることができた再会でした。

 
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2010年11月14日

「写真家たちの日本紀行」リスエスト

11月14日

 昨年、BS Japanにて私が出演した「写真家たちの日本紀行」(キヤノン提供)が、「大晦日リクエスト6時間スペシャル」(BS Japan午前8時〜午後2時)までの枠で再放送される可能性が出てきました。
 しかし、そのためには皆様からのリクエストが必要になります。

 というわけで、

番組の公式サイトhttp://p.tl/aPeH に作られている投票サイトから、投票をお願いいたします。

 私の回は2009年5月23日
          5月30日

 です。よろしくお願いいたします。
posted by momoikazuma at 15:56 | TrackBack(0) | 記事

2010年11月12日

すべての生命にであえてよかった

(このメールの転送・ブログなどへの引用、すべて自由です)

お世話になっている皆様へ

 桃井和馬です。
 
 印刷メディアが壊滅的な状況にあります。
 つまり、本がまったく売れないのです!

 私にしても、ドキュメントの写真を雑誌などで発表できる機会はなく、今後「今の仕事が続けられるか?」どうかの瀬戸際に立たされています。


 私は想像力・思考力が試される「写真」や「文章」に、どこまでもこだわりたい。
 けれど、「効率」「経済・政治不安」の昨今、想像力などという曖昧で数字に出ないモノは必要ないと、「市場」が判断しているようです。

 しかし、そんな状況の中で、奇跡的に私の写真集が出たのです!


 担当編集者は「桃井さんの写真と言葉を伝えたい。クリスマスのプレゼントとしてなら、ひょっとしたら写真集でも売れるかもしれない」と判断してくれたのです。

★「すべての生命にであえてよかった」
    (日本キリスト教団出版局)1890円(税込み)


 ギアナ高地、パタゴニアの写真を中心に、最近3年以内の写真を主軸にした写真集です。
 人が生きること、生かされていることを、美しい自然の写真から構成しました。
 もちろん、クリスマスのプレゼントとしても最適!

 掲載したエッセイでは、
「宗教紛争」の愚を正面から捉え、宗教を超えて、民族を超えて、平和構築する方法を、また、西洋文明の基軸をなす聖書のおもしろさを書き、これまでの仕事の集大成といってもいい本に仕上がりました。

 発売は10月25日。
 すでに読んで頂いた方からは、多くの好評を頂いています。


 
 しかし、この本がまったく売れていないのです!!!!

写真集というだけで、手に取ってもらえないのです。


 大きな理由は、まだアマゾンに掲載されていないこと。
(アマゾンに掲載されないことは、現在の出版界では、「本が存在しない」ことを意味しています)

 そこで皆様にお願いがあります。


アマゾン http://p.tl/Geso
をチェックして、画面の右にある「ほしい物リストに追加する」をクリックしてください。
また、その下にある「知らせる」というアイコンで、「メール」「mixi」「twitter」などで、お知り合いにガンガン宣伝をして頂きたいのです。

また、アマゾンに本が掲載された場合は、★を入れる「評価」もお願いいたします。


それ以外のサイトでは即購入可
オンライン書店ビーケーワン http://p.tl/gxe1
HMVオンライン     http://p.tl/9suj
紀伊國屋オンライン http://p.tl/MVvM
クロネコ・ブックサービス  http://p.tl/G-mo
楽天ブックス   http://p.tl/aj7R
教文館オンライン http://p.tl/pz5-

 などです。

戦争がない平和な世界を目指して。
宗教を超えて、人々が手をつなげるように。

今年のクリスマスプレゼントに、是非、よろしくお願いいたします。

★地元や学校図書館へも「リクエスト」してください。


★先日、梶原しげるさんのFMラジオ番組の収録に行ってきました。
梶原さんが文化放送におられた時から、大好きだったアナウンサーの方です。
実際にお会いすると、やはりインタビューのプロはすごい!!
収録の間、言葉だけでなく、目でインタビュー相手から、言葉を引き出していくのです!
写真家も、こんなインタビューの仕方を見習わなくては!

(残念ですが、この放送は東京では入らないとのこと。東京以外31局の放送。しかし、放送後はインターネットで聴くことができるそうです。写真の発表方法が激変しているように、ラジオ番組も聴き方が大きく変わってきているのですね!)

詳細
11月15日(月曜) 1回目分放送
   22日(月曜) 2回目分放送
「オンザウェイ・ジャーナル 
 梶原しげるのトーク トゥ トーク」
JFN系列 31局 午前5時30分〜6時

 以下のURLでも、放送後は音声データとして聴くことができます。
 http://p.tl/SqRW
posted by momoikazuma at 11:46 | TrackBack(1) | 記事

2010年11月09日

覚悟ある生き様

11月8日

 昨日、ある会議に参加。
 その座長を務められていたのは、ガンを公にされている方だ。
 この日もやっと、「痛みの緩和治療」から戻られてきたのだという。

 会議の間中、何事もなかったように、とても素敵な笑顔を見せてくださるが、最後の方になると、「痛みが出てきました。お許しください」と、立ち上がった。
 その姿勢の方が、座っているより痛みが緩和されるらしい。

 次の世代に、私たちの経験を伝えるプロジェクトの会議だった。
 
 この方は、生き方を通し、全身で、経験を伝えようと、このプロジェクトを提案してくださったのだ。

 私が同じ立場であったなら、そんな余裕があるだろうか?
 この方のように、素敵な笑顔を見せながら、穏やか物腰で、その場に来ることができただろうか?

 私には、はなはだ自信がない。
 
 不安に怯え、泣き叫ぶばかりである公算が高い。
 
 昨日は、この方の言葉遣い、物腰、笑顔から、本当に沢山のものを私は頂いていたのだと思う。
 
 感謝。
 今は、この言葉しか浮かばない。
posted by momoikazuma at 12:57 | TrackBack(1) | 記事

2010年11月01日

講演という表現スタイル

11月1日

 11月は講演や講座が立て続けに入っている。
 私にとって、講演は生の反応を感じ取ることができる貴重な機会だ。

 写真を撮って発表する。
 ほとんどの場合、それは一方通行で、私に直接、見た人、読んだ人の感想が届くことは稀といっても良いだろう。(このホームページから、直接励ましのメールをくださる方は結構います!)
 
 講演はだから、人々の反応を直接感じ取れる貴重な機会なのだ。

 表現者というのは、本当に「自分のやっていることが間違っていないのか」「興味あることが人々に伝わっているのか」を確かめてみたい気持ちになる。
 やはり不安だから。
 そのために写真展をしたり、講演会をするのだと思う。

 でも、講演はライブだから、つまらないと、一発でそれが集まった人の反応に出るから怖い。針のむしろに座っている感じだ。

 一方、人々が真剣に私の写真に、言葉に耳を、目を傾けてくれる講演の場合、励まされ、「まだまだこの仕事を続けていこう!」と思えるのだ。

 これからの写真家は、写真を撮っているだけではなかなか仕事が成立しないと思う。
 そもそも、この仕事を選んだ理由は、「見たものを伝えたいから」。
 被写体と関わり、目撃した者の務めとして、これからも、講演を含め、あらゆる方法で伝え続けます。

 
posted by momoikazuma at 11:11 | TrackBack(1) | 記事